第1章 セールスの極意

「人にモノを売りつけるのは嫌いだが、
自ら買うのは好きだ」

これはアメリカのトップセールスマンだったジグ・ジグラーさんが
遺した言葉です。

お客様を含めた私たちはモノを買うことを好みます。

にも関わらず、近所の家の人のポストに目を向けると
「セールスお断り」のシールが貼り付けられて断固たる
セールス拒否の姿勢を貫いているご家庭も多いです。

あなたはどうでしょうか?

セールスマンが家に来た時に「よく来てくれましたね」

「どうぞ上がってゆっくりお茶でもいかがですか?」

といったやりとりが交わされることはほとんどないと
思います。

それだけセールスマンの印象がモノを売りつけにやってくる
ペテン師の扱いになっているのです。

しかしながら、そんなペテン師セールスマンがいる一方で
お客様との信頼関係を良好に保ちながら「あなたからモノを
買いたい」と言わしめるトップセールスマンがいるのも事実です。

この2人の差は一体どこからくるのでしょうか?

僕は凡人だから天才には太刀打ちできないんだ・・・

「あなたにはセールスの才能がありますよ」と言われたいかも
しれません。

私もあなたに対して「セールスの才能があるかもしれませんね」と
言ってあげたい気持ちはあります。

しかし、私は才能とかいうよくわからないものに全く
興味がありません。

『才能で9割決まる』という凡人を完璧に敵に回した
タイトルの本があります。

この本の1ページ目は将棋界で有名な羽生善治さんの次の
言葉から始まります。

「才能とは一瞬のひらめきだと思っていた」

「しかし、才能とは10年、20年、30年と同じ情熱を傾ける
ことができる人のことだ」

この1ページが目に飛び込んできた瞬間に、私は本を閉じました。

「10年間も情熱を傾けることは俺には無理・・・」と直感的に
思ってしまったからです。

確かに私には才能という誰もが欲しい能力とは縁がなかったのでしょう。

「諦めることが」の本当の意味

私の今回のお話に興味を持っていただいたあなたは営業などの
セールスマンの方をはじめ、何かしら人間関係に悩みや不満を
抱えた方だと思います。

そんなあなたにしていただきたい私からの提案があります。

それが「一刻も早く諦めること」です。

はあ?

何を諦めるんですか?

これから人間関係をスムーズにする秘訣を教えてくれるんですよね?

色々な感情や疑問が生まれていると思いますが、まずはあなたに
必要なことは「諦める力」なのです。

例えば、営業マンの方であれば、トップセールスマンのような営業
スタイルを目指すことは一刻も早く諦めてください。

女性でママ友でのグループ関係で悩んでいる人もその悩みを解決すること
自体を諦めてください。

家族関係で息子や娘と親子トラブルを解決したいと思われている方
であれば、その悩みは一生解決できないと諦めてください。

このように「諦めてください」と私からお願いすると、

あなた何を無責任なことを言っているんですか!

という批判の嵐が返ってくることが予想されます。

この大きな批判を覚悟の上でお話をさせていただいております。

その上で、まずはあなたの周りで起こっているトラブル、悩み、
不満、怒りの全てを手放して欲しいのです。

諦めのいい人間だけが得する社会

「諦めたらそこで試合終了ですよ・・・」

これは大ヒット漫画『スラムダンク』の安西監督の言葉です。

大ヒットしているスラムダンクですが、私がもしもスラムダンクの
主人公だとして安西先生から同じセリフを言われても絶対に次の
ように言い返すと思います。

「安西先生、私はもう諦めて次の戦略を立てます」

社会の一般的な常識の中に埋め込まれている「諦めない姿勢」
この考え方はとても大切なことだと認識しています。

しかし、諦めることで次なるステップに進める可能性があることも
また事実です。

自分の選択肢にこだわり続け、自分の考え方に執着し続ける
ことが限られた人生を台無しにしてしまうことがあるからです。

だから、潔く諦める力が大切なんです。

とは言っても今持っている目標や将来の夢を簡単に諦める
わけにはいきません!という人も多いと思います。

諦める=断念するではない

諦めると断念することであると思っている人が多いです。

しかし、実は諦めるとは断念することではないのです。

私が持っている諦めるという概念は、

「明らかにして認める」

この意味です。

「諦める」とは仏教用語です。

仏教用語で「明らかにして認める」という意味があるのです。

つまり、あなたを含め世間一般の人が考える「断念して完全に
今やっていることを断つ」という意味ではないのです。

では、明らかにして認めるとは一体どういう意味なのでしょうか?

ズバリ、「自分のありのままを知り、自分のことを受け入れる」
という意味です。

この部分を極端にいうのであれば、

諦めるとは自己理解して再チャレンジする

ということを示していたのです。

あなたは真の諦めるという意味を知っていましたか?

諦めるという本当の意味に出会ったことはあなたにとっては
これからの人生で大きなチャンスに変わっていくことになります。

これはなぜなら、今までやってきたあなたの習慣や行動を諦める
ことができるからです。

諦めることは簡単だと理解してしまったからです。

この真の諦めることのパワーに気づいてしまったあなたはこれから
自分のこれまでの自分のやってきたこと、人生で何をしてもうまく
行かなかったことなど、その全てを諦めるという形で俯瞰して物事を
見れるようになってきます。

これはかなり便利なツールです。

そして、諦める力をつければつけるほど不思議なことに
自分の人生が黒から白にどんどん好転して前へ前へと突き進んで
行けてしまうのです。

大切なことなので何度も言わせていただきます。

諦めることは「自分のありのままを知り自分ことを受け入れる
こと」です。

諦めた先にある凡人のカウンタープラン

先ほど凡人を敵に回した天才軍団のための本『才能が9割』という
本をご紹介しましたが諦めることも才能の1つだと私は考えています。

簡単に諦めることができるということも才能の1つ。いつまでも
諦められないということも才能の1つと捉えることができます。

ですが、私からあなたへのオススメは「今すぐ諦めること」です。

これはなぜなら、諦めた先に凡人の逆襲プランが用意されているからです。

才能のある人は知能が高いから結果を出すのではありません。

才能のある人は特別なテクニックを使っているから成功して
いるわけではありません。

才能のある人は運や偶然なんか全く信用していません。

これは伝え方が得意な人も同じことが言えます。

あなたのいく逆に花あり「伝え方のプロ」

「人の行く裏に道あり花の山」

これは投資の世界の格言です。

「大衆心理の裏に金塊が眠っていますよ」という
投資の教えです。

実は、コミュニケーションのプロの世界でも同じことが
言えます。

セールスが得意な人、伝え方が上手い人の特徴には
色々な要素がありますが、それぞれに共通のある
ポイントがあるのです。

端的に言えば「不必要なことはしない」という特徴です。

・お客様に媚びへつらう
・お客様に合わせる

できる人ほど一般的なセールスマンがやってしまいがちな
ペコペコ営業を徹底的に省いていく傾向にあるのです。

この部分をまずはあなたも頭の片隅にでも叩き込んでください。

ここで一番伝えたいことは、

できる人ほど諦めている

という意外な真実です。

セールスが上手な人が相手をみる視点は「相手が自分の
商品を買ってくれそうかどうか」だけです。

買ってくれそうな気配がなければ諦めて他のお客様を
探すのです。

これがセールスの極意であり時間を無駄にしないセールスの
できる人が持つセールスの奥義なのです。

お客様を逃し続けたペコペコ癖

今回あなたにお伝えするタイプ別セールス術にはある意味があります。

中でも最大の特徴は「人に合わせて自分を変えるわけではない」という
部分です。

この考え方だけで人間関係が変わっていきます。

自分自身が相手に合わせて自分をへりくだると最悪の
結末を生みます。

相手の着ている服のサイズと全然マッチしない服を
着たらどうなるでしょうか?

もしもあなたにとって小さい服であれば破れてしまうかも
しれません。

もしもあなたにとってより大きなサイズの服であれば
ダボダボで見るからにあなたの体に最適な服だと言えない
ことぐらい一目瞭然でわかるはずです。

人に合わせて伝え方を変えることは今の自分を否定して
「自分を変える」と考えている人も多いかもしれません。

実は私もそうだったんです。

相手に合わせる。

相手に断られたくない。

目の前にいるお客様を逃したくない。

この思いが先行しすぎて自分を捨て相手に合わせることばかり
を考えていたのです。

にも関わらず、お客様は別の取引先と契約を結ぶという
まさに最悪なシナリオを何度も実現させてしまった苦い過去が
あるのです。

あなたがもしも人間関係などで悩みがあるのであれば変えなければ
いけないことがたった1つだけあります。

それは、

相手によって言葉の選び方を変える

ことです。

相手によって自分を変えるのではなくて、言葉選びを変えるのです。

コンピューターやロボットには性格がないので、相手に合った
言葉をかけることはあなたの自由なスタイルで行うことができます。

しかしながら、人間には10人いれば10通りの性格や価値観を持ち合わせて
います。

つまり、第1章のタイトルにしましたが、

『セールスの極意とは相手によって言葉の選び方を変えること』
だったのです。

仕事上や日常で勃発する様々な悩みの多くは人間関係が原因で
起こっています。

そして、その元をたどると小さなコミュニケーションの溝です。

このコミュニケーションギャップの最大の問題点はお互いに
悪意が全くないという部分です。

つまり会話をすればするほど、会話をする側と受け取り側に
悪意はないのにどんどん溝が深まるという不思議な不信感
を生んでいるのです。

このような状況は大変残念な状況としか言えません。

言葉にならないぐらい心苦しい状態だと言えます。

できれば会話もしたくないけど、お互いのために一応
会話しておくか・・・

そして会話すればいつもの噛み合わない心の不一致。

この負の会話サイクルがあなたの人生単位で見たときに
どれほどの大損をしているか。

考えただけでもゾッとします。

そんなあなたもすがる思いで、占星術、エニアグラムなどの
性格診断などを通して相手のことを理解しようと努めてきた
人も多いかもしれません。

その結果、人生が好転したという人も確かにいると思います。

しかし、もしもあなたがそれら占いや診断ツールを使ったことに
よってこれまでの人間関係の悩みが吹き飛び人生を好転させて
いたとすれば私のお伝えする内容を無視しているはずです。

私の伝えている内容に目もくれず、読んでいる時間があるなら
友達とおしゃれなカフェでお茶でも飲みながら楽しいひと時を
送っているはずでしょう。

このあなたの人間関係や営業場面でうまくいかなくなった
コミュニケーションギャップを解消してくれるのが『タイプ別
セールス術』です。

あなたも伝え方、受け止め方をタイプに合わせて使い分けるだけで
コミュニケーションを潤滑に滑らせることができるようになります。

それでは早速、4タイプ別セールス術についてあなたにお伝えさせて
いただきます。

第1章のまとめ

・できる人ほど諦めることが早い

・何をしないのかを優先させるのがセールスのプロ

・諦めるとは断念することではない

・諦めることはポジティブ

・自分を見つめ直すことで再チャレンジできる

・あなた自身を変えるのではなく、相手によって言葉の選び方を変える

・セールスの極意とは言葉の選び方を変え、相手からイエスを積み重ねること

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